三菱電機 自殺した新入社員が労災認定になって思うこと
今から約3年前に三菱電機の新入社員だった男性が自殺したニュースは記憶に新しい。
その前にも電通に勤めていた20代女性が自殺したことで、あらゆるハラスメントは一気に注目をあびた。
今回、約3年にかかり労災認定となった本件について思うことを書いていこうと思います。
まずは、知らない方もいると思うので、簡単にどんなニュースだったか説明します。
・三菱電機パワハラ問題とは
2019年8月、三菱電機の男性社員(20代)が自ら命を絶ちました。
男性は同年4月から入社した新人だった。
彼の残したメモには指導員だった上司からの暴言の数々がつづられていました。
「次、同じ質問して答えられんかったら殺すからな」
「お前が飛び降りるのにちょうどいい窓があるで、死んどいたほうがいいんちゃう?」
などの暴言だ。
この指導員は同年12月に「自殺教唆」の疑いで書類送検となった。
これは異例なことでニュースでも大きく取り上げられました。
実は、3年ほど前にも同社の同じ寮で当時新入社員だった男性(当時25歳)も自殺しているという事実がありました。
そういうこともあり大きな話題となりました。
・三菱電機は2012年以降、6人の労災認定者、5人の自殺者を出している
20代男性以外にも仕事関連で多くの犠牲者を出しています。
彼らに当てはあるのは月100時間を超える残業と周りからの助力がない孤独でした。
2014年に過労自殺した男性は、システムエンジニアで担当していたプロジェクトに対応するため、月100時間を超える残業を続けていたそうです。
しかもチームのメンバーは、自分以外年上の外部スタッフしかおらず、残業を強いることはできなかった。
自殺後に判明したのは、上司にも相談していたが掛けあってもらえなかったこと関連会社のリーダーからも長時間の叱責を受けて鼻血を出してもやめてもらえなかったことがわかりました。
そして責任感が強い彼はどんどん自分を追い込んでしまったようです。
そういった過去がありながら会社は改善されなかったようです。
・昔からの会社の悪しき風習
確かに暴言を吐いた指導員は100%悪い。
ただそのことを知らない人たちは現場にはいなかったのではないだろうか。
誰かしら助けようと思わなかったのか疑問だ。
皆見て見ぬふりをしてきたのだろう。
それは、他の社員たちも経験しているからという理由じゃないだろうか。
部下が新入社員を叱責して止めない上司もそうやってきたから当たり前だと思っていたのではないだろうか。
怒り任せに怒鳴るような人間に対して止めることができない上司も同類である。
会社ぐるみで社員を追い込み、死に追い込ませたのだろう。
これは個人の努力だけでなく、会社と労働組合の努力が必要だろう。
・約3年がかりの労災認定
ここまで時間がかかってしまったのは残念としか言えない。
早いか遅いかは個人差があるにしても被害者はもうこの世にいないのだから遺族の悲しみは消えることはないだろう。
これは大きな一歩ではないと思う。
この男性の前にも多くの方が労災認定や自殺をしている状況、もっとスピード感を出してほしかった。
残業残業と言われるが、もっとも大事なのは人間関係の環境である。
僕も仕事を通して知り合った人は多くいるが、合わない人はとことん合わない。
上司だったら1年我慢できたらすごい方だと思う。
それが右も左もわからない新入社員だったらとてもつらい状況だろう。
今回の三菱電機だけではなく、他の大企業にも同類の事件はあるだろう。
労災認定になっても今までだって変わらなかったのだから会社側にも責任を課す何かがあってもいいと思う。
一応は今回の件で、指導員はもちろん役員も異動で変わったようだが、異動もしょせん異動なので全く関係ない場所にいるとは限らない。
三菱電機には、もっと根本的に変えていってくれることを期待したい。
これからの新入社員たちには、大企業だの高年収だのくだらない肩書に縛られずに社会人としても道を歩んでいってもらいたい。
どれだけ世間体から評判のいい会社に入社しても死んでしまってはどうしようもない。
自殺してしまった人たちだって、こういうかたちで会社を陥れようと入社したわけではないだろう。
きっと高収入で人生を謳歌したいから入社したはずだ。
お金の稼ぎ方はいくらでもある。
大事なのは自分自身の健康だ。
誰かのための仕事ではない。
自分が生きていくための仕事だ。
そのことを忘れずに社会人として頑張っていってもらいたい。